――デルタ特集内「素人がエンジンオーバーホールをするということ」インタビューより抜粋

T氏(以下、T):そろそろタイミングベルト交換の時期だからと思って、カバーをズラして見てみたんですよ。そしたら亀裂が見えたんですね、ベルトに。
STRUT(以下、S):それは切れるどのくらい前の話なんですか?
T:切れる、その日。
S:うわッ!
T:「ヤバイ」と思って。(当時の状況を話すと)家があって、そこから30mくらい離れた駐車場にデルタを停めてたんですね。そこからクルマを出して家の前に持ってきておいたわけなんです。S:なるほど。
T:そんな状況でカバーを開けてみたら、ちょうど亀裂が見えて。ただ、判断に迷いましたね。(確かに亀裂があることはわかるけれど)これが今すぐ安静が必要なヤバさなのか、何処かまで(ベルトを交換してもらうために)様子を見ながら乗って行っていいものなのか。
S:ええ。
T:で、とりあえず知り合いに連絡したら「それはもう走らさないほうがいいから」って話だったんですよね。そうか、じゃあ30m先の駐車場に戻そうと思ってエンジンをかけて、動かそうとしたところだったか、動かしたところだったのか…いずれにしてももう腫れ物に触る感じですよね。
S:はい。
T:そのときに『プスン』っていって…。『ガチャ』とも『グチャ』とも聞こえなかったと思いますよそのときは。でも…冷や汗ですよね。
S:(息を呑む)
T:で、(エンジン始動前にしたのと同じように)カバーを開けて見てみたらベルトがもう、こう…デランとたるんでて。とりあえずは通りすがりのクルマに引っ張ってってもらって、駐車場に入れたんですよ。
S:止まったときには「タイミングベルトだな」って思いました?
T:思いたくないけど思いましたね。
S:…かなりの絶望感ですよね?
T:すごかったですよ、すごい…(しばし沈黙)。とりあえず(その日一緒に外出する予定だった)彼女、今の嫁さんなんですけど、その彼女に「タイミングベルト切れたから行けない」って電話するんだけど、彼女にはどれだけ大変なことかはわからないんですよね。「あ、そう?」って言うんです。

――この後、修理見積もり100万円ほどという現実を前にうなだれるT氏。逡巡ののちエンジンオーバーホールを自分の手で行うことにした彼の奮闘録を当時の写真をもとに再現。

↑これがヤフオクユーザーがみんな気にする「タイミングベルト切れ」の実写だ。

四苦八苦して取り出したバルブ16本。見事にピストンと干渉してひん曲がっていた…。